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曽根先生の通訳学習相談室

将来、通訳者をめざして受講していますが、求人・転職サイトなどを見ても、ほとんどの募集が「通訳としての実務経験」を必要とするものばかりです。通訳としての実務経験がない人が通訳の仕事を得る際には、スクールで実力をつける以外に、どのようなことをしていけばよいのでしょうか?(英語通訳コース本科2受講生)

ご指摘の通り、通訳職の求人には、経験が重視されます。私自身の体験ですが、オーストラリアで通訳・翻訳の修士号を取得して帰国し、様々な通訳派遣エージェントに連絡を取って仕事を探しましたが、やはり「日本で通訳経験がない方は、ちょっと…」と派遣通訳者としての登録そのものを断られる場合もありました。だからと言って、「通訳として働きたいと思っても、通訳としての実務経験がなければ仕事は獲得できない」という事ではありません。通訳としてのキャリアがなくても、通訳スキルの程度とそれまでの業務経験によって、様々な可能性が生まれてきます。私には、通訳者の友人も多いのですが、企業内通訳者をしている友人には、その業界で働きつつ通訳訓練を受けて企業内通訳者に転身したという経歴の持ち主がたくさんいます。中には、語学とは関係ない仕事をしていたが、通訳学校でスキルを磨き、講師や教務スタッフにも高く評価され、通訳のお仕事を獲得するに至ったという人もいます。

ただ、エージェントのいう「実務経験」とは「一般企業での勤務経験」を指すことが多く、しかも、語学を使った仕事の経験があるといっても、「英会話スクールの講師」などは、仕事紹介に結びつきにいくようです。私の場合、結局、通訳・翻訳の修士号はあっても、日本での実務経験はなしという事で、派遣登録はして頂けませんでしたが、通訳力のチェックはして頂き、「一定レベルの通訳能力があるので、フリーランスとしてお仕事があったらご紹介しますね」という事から、日本での通訳キャリアが始まりました。もちろん最初のうちは、ほとんどお仕事がなく、オーストラリアの大学院の時に培った人脈を通して、翻訳の仕事を頂いたり、英語を教えたりしながら、少しずつ少しずつ頂いたお仕事をこなし、現在に至っています。ですから、実務経験のない方は、まず通訳スクールでしっかりと通訳スキルを身につけつつ人脈を築き、 同時に自分からも積極的に「実務経験」が積めるような、お仕事を探しましょう。実務経験は待っていても積めません。積極的、かつ継続的な努力で、自分の道を切り開き、キャリア・アップをはかってください。

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