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曽根先生の通訳学習相談室

言われた内容を正確かつ詳細にメモできるようにするためには、どのような勉強をすればよいでしょうか?

これは何度も聞かれる質問ですが、はっきり言って効果的なメモの取り方などありません。「メモ取り」の方法を研究するより、頭の中にできるだけ多くのメッセージを残せるように努力するほうがよいでしょう。リテンション能力を向上させる訓練が必要です。「メモ取り」は、あくまでも補完的なものです。頭の中で覚えきれなかったほんの限られた情報のみをメモに残すという事でないと、今後ますます大変になると思います。ただ、以前にもご紹介したことがありますが、同僚の通訳者の中には、メモ取りに一定のルールを作っている人がいます。

例えば、
1.日本語で聞いているときは英語で、英語で聞いているときは日本語でメモを取る。
2.話の流れを追うために、「だから」、「しかし」、「なぜならば」、とか「現在」「過去」「未来」といった時制などに自分で工夫した記号を使う。(例えば「だから」の場合☆、「しかし」○、「なぜならば」◎、「現在」◆、「過去」*、「未来」#、といったものを考える。)
3.主語と動詞だけをメモする。
4.数字、年号、などデータ情報だけをメモする。

といった事を実践している友人がいます。ただ、こういった方法が効果的かどうかについては、通訳者の間でも意見が分かれています。私も通訳の勉強を始めた頃はやみくもにメモを取っていましたが、そのうちに自分の聞き取り能力、理解力が向上し、ノートテイキングの量がどんどん減りました。やはり頭の中にメモをとれるように、リプロダクションなどで記憶力アップをめざす方がよいと思います。

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