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受講生・卒業生の声

  • 近藤 はる香さん

    中国語通訳者養成コース「通訳科2」クラス修了

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最高の「黒子」になることです。通訳を介して会話していることをお客様が忘れてしまうような通訳になりたいと思っています

【プロフィール】

レギュラーコース中国語通訳者養成コース「通訳科2」クラス修了、レギュラーコース中国語翻訳者養成コース「本科1」クラス受講。
2013年よりフリーランス中国語通訳者として、2015年よりフリーランス翻訳者としても稼働中。

通訳・翻訳訓練を始めたきっかけ、ISSインスティテュートを選んだ理由をお聞かせください。

中国留学中、日本の先生が講演にいらっしゃり、その通訳を担当しました。自分の専門分野で、且つ日頃から論文著書も読んでおり、準備もきちんとしたうえで臨みました。しかし、結果は大失敗。講演後のアンケートで学生たちの批判は「通訳がわかりにくい」に集中。当時私は失敗の原因を「話者の準備不足」と分析しました。実際、講演は筋立てが乱れ、しどろもどろ。ご本人も準備不足だと認めていました。「素材がうまく出来上がっていないのに、訳がそもそもうまくいくはずがない」――自分の力不足から目をそらし、当時の私は話者への不満さえ感じていました。

その後、あるゼミで、学生たちと講演内容に関する討論になりました。その時、ようやく私は自らの過ちに気付き、自分の通訳は「この子たちの期待を裏切ったんだ」と涙が出るほど反省しました。この大失敗を通じ、「伝えたいと思う人の言葉をきちんと伝えること」、「知りたい、理解したいと願っている人にきちんと言葉を届けること」の大切さ、責任の重さ、そして難しさを実感し、通訳・翻訳者を本格的にめざし始めました。

帰国後すぐに本や雑誌、ネットなどで通訳学校をいろいろと調べ始め、ISSインスティテュートのコース設定にとても惹かれました。レギュラーコースと各種短期コースのカリキュラムは、きめ細かく、無駄のない合理的な設計となっており、その他通訳準備の仕方、通訳・翻訳業界動向を踏まえた各種セミナーなどから、プロとしての心構えも学ぶことができます。今実際現場で仕事をしている中で、「授業を受けていてよかった」「あのセミナーで聞いていた通りだな」と思うことが多々あります。

初めての通訳・翻訳のお仕事から現在のお仕事に至るまでの経緯、お仕事でのエピソード等をお聞かせください。

初めての通訳案件は展示会ブース付き通訳でした。その後2年ほどは展示会通訳を中心に稼働し、少しずつ視察・査察、会議(逐次)、講演といった案件も頂くようになりました。最初は3か月、4か月全く仕事が入らない状況が続き、確定申告でも非課税者。先月(2016年11月)4年目に突入し、今年はようやく継続的に仕事が入るようになってきましたが、まだまだ仕事のばらつきに不安を感じることも多い毎日です。

前の質問でも触れた講演の際、しどろもどろになった話者に「適当にどうにか訳しておいてください」と言われたことがあります。また、ある査察案件では「通訳はただ相手が言ったことを訳せばいい、解釈はせず、そのまま伝えるだけでいい」と厳しく要求されました。話者と聞き手の両方にとって正確な訳とは何なものか、通訳が「変換」ではなく「通訳」であることの意義、本質はどこにあるのか――常にそのことをずっと考え、模索しています。

ISSインスティテュートで学んだどのような点がお仕事に役立っていますか?

ISSインスティテュートでは通訳技術だけでなく、練習の仕方、準備の仕方、現場での対応、通訳としての心構えをしっかりと教えていただきました。すべて今の仕事に役立っていますが、あえて一番を挙げるのなら、やはり心構えではないでしょうか。

現場に出るようになり、通訳は通訳をしていればそれでいいわけではないことがよくわかりました。「通訳は偉くありません。サービス業です」、「通訳は黒子です」と先生がよくおっしゃっていました。言葉ができると往々にして自分が優秀だと勘違いしがちです。実際お客様から「すごいね」、「優秀なんですね」と言われることもあります。しかし、現場は決して自分の能力や経験知識をひけらかす場ではなく、お客様のために「架け橋」になる場。お客様双方の発言をしっかりと正確に過不足なく伝えるだけでなく、場の雰囲気やお客様のニーズに合わせた話し方や態度を心掛けること。何か意見やサポートを求められた際には「私は通訳ですから」と拒否せず、適切な範囲でお手伝いすることも大切だと思います。もちろん通訳とは極端にかけ離れた要望に応える必要はないと思いますし、反対にお客様の業務に干渉したり、求められていない意見を言ったり、お客様のやり方やペースを誘導するような発言は、好意であっても絶対にしてはいけないと思います。「サービス業」であると同時に、「黒子」に徹すること。いろいろな言葉と行動で、先生方はそれを私たちに教えてくれていたと思います。

今後の目標をお聞かせください。

最高の「黒子」になることです。通訳を介して会話していることをお客様が忘れてしまうような通訳になりたいと思っています。

これから通訳・翻訳訓練を始めようとお考えの方、訓練中の方にメッセージをお願いします。

通訳は本当に責任の重い仕事だと思います。仕事の前日や直前は、不安と緊張で逃げ出したくなります。しかし、現場に出て、会話が盛り上がった時には、「この話し合いが何かを変えるのかもしれない」そんな興奮に満たされます。通訳は素晴らしい仕事です。

ISSインスティテュートで先生方やクラスメートに出会えて、私は本当に幸運でした。現場では自信を失うことや疑問に思うことにもぶつかりますが、その度に「先生に教わった通りにやっていれば私は一流の通訳になれる」と確信します。通訳の技術や言葉に関することだけでなく、姿勢も含めて先生方からしっかり学べば、一流の通訳になることは夢ではないと思います。

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