高橋さん
プロ通訳養成科1
【プロフィール】
以前別の通訳学校に通い社内通訳者として稼働し始め、その後順調に仕事をこなし社内通訳者としての経験を重ねていたのですが、将来的にフリーランス通訳者になるという目標を考えたときに、自分の通訳技術に限界を感じ、本当に今のパフォーマンスのままでよいのだろうか?という危機感を覚えました。
まずは通訳スキルを強化するための短期集中クラスをいくつか受講してみたのですが、その時に非常に的を射た授業内容に感銘を受け、そして何より先生方の教えることへの熱意がひしひしと感じられ、本気で学び直すためにレギュラーコースも受講してみたいと思いISSインスティテュートを選びました。
現在のクラスでは話題になっているニュースをはじめ、歴史上の重要人物、その他多岐にわたる分野の教材で逐次通訳の訓練を行っています。週替わりで日英、英日の週となりそれぞれ異なる先生が担当しますが、いずれの週も基本的には自分で仕上げてきた復習のパフォーマンスをまずは通しで行って先生から個人向けのフィードバックをもらい、その後は新しい教材を初見で逐次通訳をするという流れになります。
初見で行う新しい教材はもちろん授業中に完璧な訳出はできないので、2週間後の日英または英日の授業までに自分できちんと内容を理解して訳を修正し、完璧に訳出できるよう準備するのが宿題となります。また、次回の授業のトピックを予習することも宿題となるので、事前に与えられたキーワードから内容を予想して調べ、単語リストなどを作成して初見の教材に対応できるよう準備をします。
勉強になると感じる点は、日英に関しては先生からどのように訳せば効率的でより分かりやすい訳出になるかというのを、自分のパフォーマンスに対するコメントをもらいながら見本訳などを参考に手ほどきしてもらえるところです。英日に関しては自分では思いつかないような適切な日本語を指摘してもらえ、洗練された訳出を学べるところです。また、自分では気づかない癖や改善点などを先生から的確に指摘してもらえるので、自分の改善すべき課題が明確に見えてきます。
実際の通訳業務で効率的かつ分かりやすい訳出がスムーズに出てきた時は、自分でも伸びていると実感することがあります。実際の業務で「ISSの授業で出てきた!」というような場面にも何度も遭遇し、受講していてよかったと思うことも多いです。また、授業の予習として限られたキーワードからトピックを調べ初見通訳の準備を行うということを毎週行っているので、実際の業務でも未知の分野の通訳準備をする際に、限られた時間の中で何を・どのように・どこまで準備すればよいか分かるようになったのは私にとって大きな収穫です。
授業で使用する教材は知的好奇心を掻き立てられるものが多く、予習時や復習時に色々調べてそのトピックを学べるので、楽しいだけでなく広く知識を増やすという意味でもとても役立っています。また、どういった話題に目を向けるべきかというアンテナが自分でも張れるようになり、今まで目を向けなかったニュースや話題にも自発的に目を向けるようになってきたと思います。
さらに、仕事や授業の準備に追われどんなに寝不足でも、授業できちんと通訳パフォーマンスを発揮しなくてはならないので、実践さながらに肉体的にも精神的にも鍛えられています。
コロナ後も実際の通訳業務ではオンライン対応を求められることもあるので、対面ではなくオンラインで通訳訓練ができるというのは実践的でよいと思います。
また、オンラインだと出張先や旅行先でも時間さえ確保できれば受講できるので、柔軟性があり自分のスケジュールを立てやすいという利点があります。移動時間がないので、授業が始まる直前まで家で授業の準備ができるので大変助かっています。
パフォーマンスに関する先生からの細かいアドバイスは、自分が訳出するたびにいつも頭をよぎりますが、それとは別に印象に残っているのは、「時間があっても勉強しない。忙しくて時間がない時の方が勉強する」という言葉です。時間があると怠けてしまう私はこの言葉を教訓に、仕事があるから、忙しいからを理由にせず勉強を継続していこうと思いました。
あと印象に残っているのが、「訳出を聴いている人が考えることなくスッと理解できる日本語でなくてはならない」という言葉です。日本語は母国語なのでそれなりに訳そうと思えば何とか訳せてしまうのですが、その状況に応じた適切な日本語を使うのは非常に難しいです。日本語に訳す際には、聴いている人に頭の中であれこれ訳出の意味や単語を考えさせないような言葉選びを意識するようになりました。
通訳の勉強には膨大な時間と労力が必要となりますが、自分のペースでISSインスティテュートでの勉強を継続し、最終的にはフリーランス通訳者として幅広い分野の通訳に対応できるようになり、お客様に対して恥ずかしくない通訳サービスを提供していきたいと思っています。
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