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曽根先生の通訳学習相談室

流れてくる英文を聴き逃すまいと、よく聴こうとすればするほど全体の話の流れが分からなくなり、今度は全体を聴こうとすると細かい部分が聴こえないというジレンマに悩んでいます。どのような訓練をすれば、リスニングの際の上手な聴き方を習得できますか?(英語通訳コース入門科受講生)

通訳スキルの基本として、私が、常に指摘している3つの要素が、インプット、アナリシス+メモリ、そしてアウトプットですが、今回は通訳をする際の出発点である「インプット」の基本的な勉強方法についてお話します。通訳をする上では、まずメッセージを正確に取り込むこと、インプットが大事です。ただ、一口に「インプット」と言っても、メッセージの取り込み方には2つの方法があります。

  1. とりあえず、何をいっているのか、要旨を把握する。
  2. メッセージの細かい単位ごとに、正確に詰めていく。

この2つです。もちろん実際の通訳の際は、(1)→(2)または(2)→(1)というどちらかの流れで、両方ともこなさなければなりません。しかし、両方を完璧にこなす能力が不足している場合には「細かい部分まで良く聴こうとすればするほど全体の話がわからなくなり、全体を聴こうとすると細かい部分が聴こえない」という問題が生じます。

従って、(1)大意を把握するリスニング、および(2)細かい部分まで正確に聴き取るリスニング、という異なる2つのリスニング学習をしていきましょう。

まず、最初に注意したいのが教材の選び方です。教材は、必ず英文のスクリプトのある音声教材で、自分にとって簡単なレベルのものから始めてください。「自分にとって簡単なレベルのもの」とは、最初に英語の音声を聴いた時、「あ、ちゃんとわかる!」という印象を持ったものです。初めて聴いて「あれ?ちょっとわかんない…」という素材は、自分が独学で勉強するには不適切です。

次に、具体的な学習方法ですが、読書の際には「精読」と「速読」という2つの読み方があるのはご存知だと思いますが、それをリスニングでもやってみてください。つまり、一つの教材で、とりあえず何をいっているのか要旨を把握する「速聴」、そして、メッセージを細かい単位まで正確にじっくり聴く「精聴」を両方行ってください。順番は「速聴」→「精聴」です。まず「速聴」で、パラグラフ単位で区切って日本語へと訳出してください。これは一回聞いたら、すぐそのパラグラフを訳出する事、瞬時の反応が大切です。何度も聴かないようにしてください。その後「精聴」をします。「精聴」する場合は、文章をワンセンテンス毎に区切って、日本語に訳していきます。すぐに日本語に訳せなかったら、センテンス毎に5回までは聴いてかまいません。とにかく5回まで聴いて、完璧に、一語一句正確に、日本語に訳出できるように訓練してください。どちらの場合も「日本語へと訳出する」のは必須です。全体を瞬時に把握する力、細かい部分まで注意を向けられる力、これは両方を同時に訓練しつつ、補完的に身についていくものです。それを意識しながら日々の努力を続けてください。

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